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コーヒーをワークアウト前に飲むべき理由(Dr. マーコーラ)

コーヒーをワークアウト前に飲むべき理由(Dr. マーコーラ)

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朝のコーヒーで1日をスタートする人も多いでしょう。昔からコーヒーはあまり体に良くないと言われていますが、Health Magazineによると成人アメリカ人の半数はこの習慣を実施しています。2011年のオリ・ホフメクラーとのインタビューによって、コーヒーの利点とリスクに対する私の見識は大きく広がりました。オリはThe Warrior Diet and Unlocking the Muscle Geneの著者で、広くコーヒーの研究を行っています。

コーヒーを正しい方法で摂取すると、実は健康およびフィットネス増進の手助けになるとオリは記しています。注意すべき点や未解決の論点は残っていますが、リスクを最少にすることはできます。さらに、飲み方を少し変えるだけで、非常に有益な効果を手に入れることができるのです。

オリは、特にワークアウトの前にコーヒーを飲む有益性を指摘しており、特集記事にもなっています。

コーヒーをワークアウト前に飲むべき理由

これまで、コーヒーは血圧を上昇とさせると言われてきましたが、実はエクササイズ前にコーヒーを飲むと有益効果があることが実証されているのです。Health Magazineには、以下の記事があります。

International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism誌上で発表された研究によると、エクササイズ前にカフェインを摂取したグループは、プラセボを与えられたグループと比較すると、エクササイズ後の3時間で約15%多くのカロリーを消費した。この時のカフェイン摂取量は、体重1キロに対して4.5mgであった。これは体重150ポンド(68kg)に対しておよそ300mgであり、普通の人が朝に飲むコーヒーの量に相当する。」

オリの研究によると、コーヒーは基礎代謝を20%まで上げられるということです。ワークアウト前に1杯のコーヒーを飲むと、一時的に基礎代謝がアップするだけでなく、以下の効果があります。

微小循環を改善する Health Magazine誌によると、日本で行われた研究において、普段コーヒーを飲まない人が5オンスのレギュラーコーヒーを飲むと、カフェイン抜きのコーヒーを飲んだ人と比べて毛細血管の血流が30%増えたそうです。血流が改善すると、一般的に組織内の酸素供給も改善され、結果としてエクササイズのパフォーマンスも上がることになります。

筋肉痛の軽減 特集記事では、イリノイ大学の研究において、30分のワークアウトの1時間前に、コーヒー2〜3杯に相当するカフェインを摂取した場合、筋肉痛が軽減されたと掲載されています。筋肉痛が軽減されれば、エクササイズの負荷を増すことができるのです。

The Journal of Pain4の2007年3月号で発表されたジョージア大学の研究でも、類似の発見が報告されています。この研究では、トレーニングの1時間前に2杯のコーヒーに相当するカフェインを摂取した場合、ワークアウト後の筋肉痛が48%まで減少しています。

これを他と比較してみると、ナプロキセン(アレーブ)を使った場合のワークアウト後の筋肉痛はわずか30%の減少で、アスピリンでは25%の減少でした。

持久力の向上 2005年のメタ解析では、カフェインは疲労感を5%以上減少させるため、エクササイズがより「楽に」感じると結論づけました。さらにカフェインによってエクササイズのパフォーマンスは11%以上向上しており、これは疲労感の減少と関連があると見られます。

筋肉の保持 オリによると、脳はコーヒーによる刺激で、脳由来成長因子(BDNF)を放出します。BDNFは筋肉にも発現し、筋肉のもっとも重要な要素である神経運動を手助けします。神経運動がなければ、筋肉は点火装置のないエンジンのようなものです。神経運動の劣化は、加齢で筋委縮が進むプロセスの一部なのです。ですので、コーヒーはより若々しい筋肉組織を保持するのに役立つかもしれません。

この特集記事ではさらに、コベントリー大学による最近の研究もこの見解を支持していると記されています。この研究では、カフェインが加齢による筋力の衰えを防ぐとしています。

記憶力の改善 BDNFはさらに、脳の幹細胞を活性化して新しいニューロンへ変換します。これは明らかに脳の機能の向上です。実際、ジョンズホプキンズ大学で行われた研究では、200mgのカフェインによって研究参加者の記憶力が最大24時間のあいだ強化されました。

最大の効果をあげるには、いつ、どのように飲んだらよいのか

先に述べたように、コーヒーの飲み方にはいくつかの注意点があります。例えば牛乳やコーヒークリーム、砂糖や人工甘味料をコーヒーに加えることで、コーヒーの健康効果は簡単に失われてしまいます。また、前述の研究の中にはカフェインをコーヒーに対立するとしているものもありますが、オリをはじめとする専門家は、カフェインを分離した場合は猛毒である警告しており、私も同意します。

大切なのは、コーヒー豆に含まれるポリフェノールの抗酸化物質(クロロゲン酸を含む)やバイオフラボノイド、ビタミンやミネラルなどの天然のブレンドがすべて相互に作用して、カフェインの激しい作用を中和しているということです。7

オスロ大学による最近の研究では、コーヒー豆には強い抗炎症作用、科学保護作用および老化防止作用をもつ物質が含まれていると発見されました。コーヒーは炎症性の関門である NFkβを阻害すると示しています。 NFkβは炎症に直接関係があり、ある種のがんや筋肉の老化を促進します。

NFkβを阻害するのは、カフェインというより、コーヒー内に存在するある種のフェノールであるという点に注意してください。これもまた、コーヒー豆全体のほうが、カフェインのみよりも健康そして筋肉保持に優れていることを示唆しています。

一杯のコーヒーには文字通り何千種類もの天然化学物質が含まれており、それらの相互作用自体が素晴らしい栄養素であるということが科学的に示されています。こうした効果は、カフェインのサプリメントやレッドブルといった飲み物からは得ることができません。

さて次は、主な問題点や懸念を取り上げましょう。

日に1杯か2杯にする

オリが推奨する1日の摂取量は、朝あるいはトレーニング前に1杯のコーヒーあるいは1ショットのエスプレッソ、そして仕事中にもう1杯くらいで十分ということです。過剰に摂取すると副腎に有害となる可能性があります。ストレスを多く感じているときは、コーヒーによって疲れや空腹感、困難といったものに対抗することができますが、つい飲みすぎてしまいます。ポット一杯のコーヒーをすべて飲むと、副腎に負担がかかってしまいます。またコーヒーには利尿作用があるので、水分をきちんととることも必要です。

カフェインはまた、脳に「グルタミン酸塩再取り込み阻害」とよばれるプロセスを引き起こすことがあります。これは、細胞がグルタミン酸塩(精神を集中するのに不可欠な興奮性神経伝達細胞)を再取り込みするのが妨げられるということです。他の神経伝達物質と同様、グルタミン酸塩の摂取は厳しく調節しておかなければいけません。例えば、カフェイン入りのエナジードリンクをいつも飲むなど、カフェインを過度に摂取していると、グルタミン酸塩の興奮毒性を引き起こす可能性があります。

朝かエクササイズ前に飲み、その後は飲まない

エクササイズ前に飲むと、体に良い刺激を与えます。エネルギーを産み、脂肪燃焼効果を上げてエクササイズの効率がアップするのです。しかしエクササイズ後には、カフェインではなく回復用の食事が必要です。カフェインは筋肉内のタンパク質生成を促進するmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)を阻害するのです。エクササイズの最中には筋肉はつくられません。筋肉が作られるのはエクササイズ後であり、もしあなたが筋肉を増やしたいならば、カフェインにmTORを阻害させてはいけないのです。

逆に体重を落として脂肪を最大限に燃やしたいなら、エクササイズの後にコーヒーを飲むのがまさに最適です。なぜなら、それによって脂肪は燃え続け、エネルギー源として分解されるからです。エクササイズ後にコーヒーを飲むことで、その効果は次に何かを食べるまでずっと続きます。しかし、夜にエクササイズを行うなら、エクササイズ前のコーヒーは飲まないほうがよいでしょう。夜に目が冴えてしまって睡眠を著しく妨げる可能性があるからです。

オーガニックの挽きたて「レギュラー」コーヒーを選ぶ。ブラックで飲む。

挽いたばかりのオーガニックコーヒー豆は、神経保護作用を持つ総合的な栄養食品といえます。カフェイン抜きのコーヒーはそうではありません。カフェインを抜く過程で、バイオフラボノイドの抗酸化物質が大きく失われてしまうからです。ですので、コーヒーは「レギュラー」を選ぶようにしましょう。

またコーヒーは豆の状態で買って、飲む直前に挽くようにしましょう。現在手に入るコーヒーのほとんどは、家に持ち帰る頃には既に傷んでいるかそれに近い状態にあります。これは、コーヒーはいったん豆を挽いてしまうと品質の劣化が急激に進むからです。よい香りや味の弱いコーヒーは多くの場合、栄養価もほとんどありません。

また大切なのが、オーガニックであることです。普通に栽培したコーヒーは農薬が大量に使われているので、決して健康に良くありません。アメリカ農務省による「100%オーガニック」のマークで、オーガニック業界の基準を満たしていることを確認しましょう。近所の店でオーガニックコーヒーを見つけるのが難しければ、インターネットで探してみましょう。オンラインでは多くのオーガニックコーヒーが売られています。またできるだけ、生態系を持続的に守る「日陰栽培(シェードグローン)」で育てられたコーヒーを買いましょう。そうすることで、熱帯雨林や野生の鳥をこれ以上の破壊から守ることにつながります。多くの人が、日陰栽培のコーヒーの方がおいしいと言っています。

ダークロースト?ライトロースト?

他にもコーヒーの健康効果に関係するのが、ドライにしてローストする際の方法です。これはコーヒー内の抗酸化物質の効果だけでなく、毒性のアクリルアミドの形成に関係します。ただ、どの方法が一番よいかはなかなか難しい問題になります。

一般的には、オーガニックのコーヒー豆でいえば、ダークローストのほうが良いのです。食品は多くの場合、色が濃いほど健康効果も高く、コーヒー豆も例外ではありません。フレンチやイタリアンといったダークローストのコーヒーや、エスプレッソやトルココーヒーに使われるロースト豆のほうがよいのです。

ローストされたコーヒーは、生の(ローストされていない)コーヒーより神経保護物質を多く含みます。 例えば、 Molecular Nutrition & Food Research9による研究では、ライトローストのコーヒーより、ダークローストのコーヒーのほうが、ビタミンEやグルタチオン内の抗酸化物質の血中濃度を効果的に修復するとしました。ダークローストはさらに、肥満ぎみの人の減量に効果があるとされています。一方で、ライトローストにはその効果が認められていません。他の研究では、ダークローストコーヒーはN-メチルピリジニウムと呼ばれる、胃酸過多を防ぐ物質を生産すると示されています。つまり、ダークローストのコーヒーのほうがライトローストよりも胃にやさしいかもしれないのです。10

一方で、ローストする過程で豆が高温にさらされると、アクリルアミドという毒性のある副産物が生まれます。アクリルアミドは、がんリスクの上昇と関連があります。この毒性物質のリスクから考えると、ライトローストのほうが好ましいことになります。どちらがよいかという答えは、敢えて私は出しません。しかしデータは、ダークローストが抗酸化物質に富むということを示しています。

オーガニックのダークローストコーヒーが持つ豊富な抗酸化物質の利点は、ローストの過程で生じるアクリスアミドのリスクに勝るとも考えられます。しかし、今のところはこの仮定を証明するデータはありません。ですので、結局私がおすすめできることは、適度な量のコーヒーを飲むことです。ほとんどの研究では、コーヒーの健康効果があるのは2~3杯程度で、それ以上飲んでも効果にほとんど変わりはないとしています。

コーヒーカップ、豆の容器やフィルターも注意して選ぶ

あなたがドリップ式コーヒーメーカーを使っているなら、フィルターは必ず漂白されていないものを使いましょう。多くの人が使っている真っ白なフィルターは、塩素で漂白されています。この塩素の一部はコーヒーを入れる際に溶け出して体内に入ることがありますが、これはダイオキシンのように非常に危険な殺菌剤なのです。さらにコーヒーの容器やカップにも気を付けるべきです。プラスチックのカップや容器は、中のBPAがコーヒー内に浸出する可能性があるので避けましょう。

また発砲スチロールのカップもいけません。ポリスチレンの分子が浸出して血液内に入るかもしれないからです。一番安全なのは、ガラスや陶磁器のカップ、あるいはステンレス製の旅行カップなどです。最近はキューリグ(Keurig)のコーヒーメーカーが流行っていますが、これは毎回、小さなプラスチックの使い捨てのパックで抽出をするものです。これらはBPAおよびフタル酸塩を含まない11,12とされていますが、それでもこういった使い捨てパックは、分解されて土に戻ることのない廃棄物をさらに増やしているのです。幸いに、この機械には何度も使い回しのできるパーツもあり、そちらを使えば普通に挽いたコーヒーを使って入れることもでき、ゴミが毎回出ることもありません。

最適なコーヒーの入れ方のひとつは、良質のフレンチプレスを使うことです。やり方は、挽いたばかりのコーヒーをフレンチプレスに入れ、そこに熱湯を注いでプランジャーを押し下げるだけです。この方法で入れたコーヒーは香り高く、プラスチックなどの化学物質の混じらないピュアなコーヒーです。

妊娠中は飲まない

コーヒーには様々な健康効果がありますが、妊娠中にはコーヒーを飲んではいけません。これはオーガニックでも同様です。カフェインは血液脳関門および胎盤を通して、簡単に胎児に届いてしまいます。また母乳を通しても吸収されます。妊娠中のカフェイン摂取による胎児への影響として、以下の様なものが研究により示されています:

流産リスクの上昇

低体重児

口蓋裂などの先天異常

乳幼児突然死症候群(SIDS)リスクの上昇

心臓機能の低下(妊娠期全体を通してわずか2杯程度のコーヒーでも、胎児の心臓に影響を与えると示されていることに注意してください!)

正しく摂取すれば、コーヒーは健康的なライフスタイルの一部となる

何事もそうですが、コーヒーも取りすぎは良くありません。しかし適度な範囲内で摂取した場合は、多くの心血管疾患やその他重大な疾患のリスクは確認されていません。これまで数多くの研究が行われてきましたが全く確認されていないのです。それどころか、山のような研究結果が、健康を促進する可能性があることを示しているのです。

カフェインは強力で依存性のある薬物です。でもその一方で、豆からローストしたコーヒーは総合的な栄養食品であり、カフェインに加えて様々な微小栄養素を含むという部分が、話をややこしくしているのかもしれません。コーヒーを健康的に楽しむ秘訣は、コーヒーを総合的な栄養食品として使うこと、高品質の豆を選ぶこと、そして、砂糖やミルクといったものを加えてせっかくの効果を損なわないようにすることです。

出典および参考文献

1 Health June 19, 2014

2 Health June 19, 2014

3 International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism 2014 Jun 5. [Epub ahead of print]

4 The Journal of Pain March 2007: 8(3); 237-243

5 Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports April 2005: 15(2); 69-78

6 HUB.edu January 12, 2014

7 Royal Society of Chemistry May 2011

8 Mol Nutr Food Res. 2011 Oct;55(10):1582-6

9 J Agri Food Chem September 2009

10 J Agri Food Chem March 2010

11 Keurig.com

12 Coffeedetective.com

注)これらの健康情報および教育メッセージは、チョイス ニュートリションによって翻訳されています。記事の掲載目的は健康、栄養、トレーニングなどに関する情報の提供と共有にあり、個人の健康状態にアドバイスを与えるためのものではございません。食事法、トレーニング法、その他の健康管理法につきましてはそれぞれの責任において実行されますことをお願い申し上げます。また、体に違和感や不調があるときには医療機関へのご相談をおすすめいたします。なお、記事の内容に関するお問合せにはお応えしておりませんのでご了承ください。